山村テクノロジーが、食料危機、飢餓、貧困の改善に役立つ


TLUDストーブとは、Top-Lit Updraftの略で、日本語にすると、上から着火し、上昇気流を利用したバイオマスを使った調理コンロのようなものです。

通常、燃料にならない農業廃棄物や雑草などを利用するため、エネルギー源としての森林伐採が進んでいる開発途上国での森林破壊を防ぐことができます。、炭素以外のガス分を燃焼させるため、調理後はバイオ炭が副産物としてできる、CO2をほとんど放出しない温暖化対策のエネルギーとして世界中の注目が集まっています。

【仕組み】

<バイオマス>(農業廃棄物、茎、葉、細枝など)

<熱分解>→①<バイオガス>→<熱エネルギー>
→②<バイオ炭>→<農業>→<土壌改良、CO2固定>

【特徴】

1.バイオ炭を作る。(これが最大の特徴)
2.着火が早く、水が沸くのも早く、燃焼時間も長い。
3.燃料を投入し続けることは不要なので、燃料の投入に気を使う必要がない。
4.葉や穀物の殻など、細かい材料でも使うことができる。
5.ブラックカーボン、オーガニックカーボン、一酸化炭素、二酸化炭素の排出が少ない。
6.調理から鉄加工などまで幅広く使える。バーベキュー、グリル、フライヤー、暖房、照明にも使える。
7.軽くて運びやすく、熱量の調整もできる。
8.オイル缶、缶詰の空き缶、金属シートや粘土などから、簡単につくることができる。

世界中では30億人の人々は今だ、木や藁、動物の糞や石炭、炭などを燃料にしたかまどや焚き火で調理をしています。

これらの非効率な燃焼方法は、温暖化を加速させるだけでなく、彼ら自身の呼吸器や心臓の健康に悪影響を及ぼし、毒性のある煙で毎年200万人もの人が亡くなっていると言います。

それだけでなく、地球上でももっとも痩せた土地で食べ物を生産することで生活をしている東アフリカでは、4500万人もの小さな農家が食糧やエネルギーの欠乏や気候変動に苦しんでいます。

安定したエネルギーのない生活は、総収入の40%を違法に伐採されて作られた炭の購入費に当てることになり、そのため、森林は破壊され、追い討ちをかけるように、気候変動のため、栽培は難しくなり、砂漠化も進んでいます。

その問題を改善すべく、より燃焼効率が高く、安全で身近な材料だけで作れるTLUDストーブが開発されました。

TLUDストーブは、庭の木を剪定した枝や葉、乾燥した葉や茎などの農業廃棄物や雑草などの、通常、燃料として使えないバイオマスを「熱分解」という炭焼きの技術でガス化して熱エネルギーにする装置です。

「熱分解」とは、低酸素または無酸素でバイオマスを加熱する炭焼きのプロセスで、このストーブでは、炭焼きの煙だけを燃焼させるような仕組みです。

バイオマスに火をつけると、バイオマスのガス分だけが燃焼する仕組みで、残りは炭化していきます。調理が終わることには、炭素の多くがはバイオ炭になっています。

そのバイオ炭を庭や畑の肥料として使うことで、土壌改善にもなり、CO2を土中に固定することができます。ドイツのBayreuth大学の研究によると、バイオ炭を使うことで、水の使用を減らし、痩せ地での作物の収穫量は2倍ほどになるといいます。

バイオ炭を使うことで、もともと痩せ地であることが貧困の一因になっていたことを改善することができます。

農業廃棄物などからバイオ炭ができるので、それは練炭などのように固めることで普通の炭のように燃料としても使うことができるので、森林からの伐採を防ぐことにもなります。

Institute for Governance and Sustainable Developmentの設立者で米国環境法律の教授であるDurwood Zaelkeは、先進国でも野外調理などで、バイオ炭コンロの使用を提案しています。

「これはどんな人にとっても簡単に環境のためにできることです。植物は大気中から光合成を通してCO2を吸収してくれます。これをバイオ炭にすることで、生態システムの中での炭素の放出を防ぐことができます。バイオ炭は、カーボンネガティブ(CO2削減)のテクノロジーなのです」

バイオ炭を土壌に入れることにより、人類が排出する二酸化炭素の12%くらいまでを固定することができます。

環境保護活動家であるジェイムズラブロックは、農家が農業廃棄物を使ってバイオ炭を工業規模で生産し、土壌に入れることができるようになれば、それはこの壊滅的な気候変動を避ける唯一の希望になる可能性があると言っています。

化学ノーベル賞受賞者であるマリオ・モリナによると、人類が大気中に放出したCO2は、バイオ炭などの隔離技術を使って取り除かない限り、数世紀も残ると言っています。

アメリカのLifeline FundというNPOは、ハイチやウガンダ、ケニアなどの貧困国で、TLUDストーブを普及させています。

ココナッツの殻などを使った調理後にできるバイオ炭を、畑に使うだけではなく、燃料や農業用などとして販売することで貧困脱出を目指しています。

特にハイチでは、生活エネルギーのほとんどを薪や炭に頼っていたため、大地震後、大変高額になってしまって、手に入りにくいものになってしまったそうです。

ハイチやウガンダやケニアでは、生活エネルギーのための森林破壊で森林がほとんどなくなってしまっているので、森林破壊を改善するひとつの方法ともなっています。