里山テクノロジーでフィリピンの貧困を改善する


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フィリピンのマニラでは、スモーキーマウンテンという巨大なゴミ捨て場の周囲のスラムに多くの人が生活しています。

ゴミの山の中から釘などの換金できるものを集めて生計を立てています。ゴミに囲まれ、トイレもない中で生活する不衛生な環境のため、コレラや赤痢、マラリアなども広がっています。

その中の一角に、廃材を使った炭焼きをして生計を成り立たせている地区はさらに危険な環境で生活しています。

地面に穴を掘っただけの原始的な炭焼きのため、化学処理された廃材から出る有害な煙がたれ流され、住人の多くは子供の頃から肺や心臓の疾患を抱えていて、45歳まで生きる人はほとんどいないと言います。

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現在、政府がマニラ湾沿いを再開発する土地を民間企業に売却し、スモーキーマウンテンと周囲のスラムを撤去する計画が進んでいて、スラムの住人は地方に移住住宅を作って送り出しています。

そこでゴミ拾いや炭焼きなどの仕事をしている人は立ち退きは仕事を失うことにもつながります。しかし別の見方からすると、命の危険にさらされるほど不衛生な場所に住む人たちが、衛生的な生活を始める機会にすることもできます。

下の写真は今年の4月に人が住み始めたばかりの移住住宅です。トイレもあり台風で吹き飛ばされる心配もない住宅に住み、汚染された川の中で遊んでいたスラムでの生活とは違い、清潔な井戸水で水遊びをすることができます。

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しかし、移住先では仕事がないために、スラムの住人の多くが移住を拒否し、今でも不衛生で有害な煙にさらされるゴミの山の周辺に住み続けています。

移住した人たちの多くも仕事がないために生活ができなくなり、せっかく手に入れた住宅を売り払ったり、小さな子供だけを残してまたゴミの山の中へ帰っていく人も出始めています。

そこで、移住先でも炭を作って生計を立てられるように、毎年60億キロも廃棄されて不法投棄や野焼きで環境問題になっているココナッツ殻使った炭焼きをして練炭を製造するプロジェクトを行いたいと思います。

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■ プロジェクトをやろうと思ったきっかけ

もともとは地元新潟の荒れたままの竹林に少しでも手を入れようと、伝統的な土窯での炭焼きから始めました。

炭を土に入れることで、化学肥料や農薬などで劣化した農地も改善していけることを知り、農業用の炭も作り始めました。

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しかし何日もかけて炭化させる土窯は燃料用の炭には向いていますが、農業用の粉々の炭を作るのには向かないので簡単で短時間でできる炭焼きの方法を探っていました。

いろいろな炭焼きの方法を調べて、海外の炭焼きも検索してみると、薪のかまどのようなもので調理をして、調理後に材料が炭になっているものを見つけました。

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この炭焼き窯はTLUD(Top-Lit Up-Draft)ストーブと呼ばれる構造で、もともとは発展途上国で、調理エネルギーの薪のための森林破壊が深刻な上、調理中 の煙が原因で年間200万人も亡くなっていることを改善するために発明されました。

このストーブは薪以外にも小枝や穀物の殻などを燃料にできるので、森林を伐採しなくても良く、しかも煙も出ないために健康を害することがありません。調理後には炭ができているので、土壌改良に使ことも、練炭などにして販売して収入を得ることができるというものです。

こんなもので炭になるわけがない!と思いながらも、空き缶などから試しに作ってみると、簡単に炭が作れました。しかも煙が出ないため近所の迷惑にならず、料理の熱としても使えるのでアウトドア料理や、災害時の熱源や節電生活にも使えると思いました。

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偶然、中越地震で大きな被害を受けた旧山古志村の方とお話したときに、このお話をしたところ、「これと似たようなのが山古志にもありますよ。ぬか釜といって、籾殻を燃料にして飯を炊いた後、籾殻炭ができているため、土壌改良に使います」と教えてくれました。

途上国での貧困や健康問題の改善や自然保護の役に立つ技術が、昔から日本の田舎にあったことに驚きました。そしてそんな文化を持った日本からも、発展途上国での問題解決に貢献していきたいと考えました。

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■ インスタント式無煙炭焼き窯の誕生

その後、誰でも簡単に煙を出さずにバーベキューなどをしながら土壌改良用の炭が作れることを目指して、製造業が盛んな燕三条の企業と一緒に実験を繰り返し、ドラム缶を使ったインスタント式無煙炭焼き窯を開発しました。

コストを抑えるために、窯の本体には中古のドラム缶などを活用できるようにし、穴を開けたドラム缶にアタッチメントと煙突を乗せるだけでインスタント式無煙炭焼き窯になる構造にしました。これにより、本体が熱で痛んでも、取り替えられるようにしました。

このインスタント式無煙炭焼き窯を使って、山仕事をスポーツクラブのように楽しめるように「アウトドア・ハードワーク・クラブ」と称して、竹林整備をして炭を焼き、その熱で食べ物を調理して食べ、できた炭を畑に入れてさらに食べ物を作るという活動を毎週日曜日の朝に行っていました。

アウトドアハードワークに東京から参加していただいた方から、フィリピンのスモーキーマウンテンでの炭焼きの問題について教えていただき、一緒にアイデアや情報交換などをsして計画を立て、現地で活動するNPOともつながりができ、4月に訪問することとなりました。

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■ これまでの状況

まずはこの目で見て、現地の人の話を聞いてくることからと思い、4月にブラカン州バティアにある移住先でホームステイをして一緒に生活させていただきました。

移住が始まったばかりで、まだ多くの人が住んでいるわけではありませんでした。建物はコンクリートの壁があり、トタン屋根のあるシンプルなものですが、トイレもあり衛生的な環境でした。

しかしゴミ拾いや炭焼きで生計を立てている人は、移住することは収入を得る手段も失うため、移住できない人も多いと聞きました。

このときに移住していた人たちは、サリサリストアというなんでも屋や、トライシクルというバイクにサイドカーをつけたタクシーのようなものを開業できる比較的生活ができる人たちがほとんどでした。

6月に再度訪問したときには、移住者は増えていました。しかし仕事がないままに移住してきた人も多く、すでに生活できなくなりスモーキーマウンテンに戻った人や、子供を残してスモーキーマウンテンに住み込みで働きに出る2重生活を送る人なども増えていました。

このときは、近くで手に入る材料でインスタント式無煙炭焼き窯を作成して、ココナッツの殻やおがくず、廃材などの炭化テストを行いました。しかし窯を作っただけでは仕事作りにはならず、材料の入手ルートから炭化、練炭の製造方法、販売までの仕組み作りを現地の人たちと一緒に進めていかなくてはなりません。

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■ ご支援で実現できる事

そこで、まずは3ヶ月ほど滞在して、最初は仕事のない10家族ほどに協力していただき、

①材料や場所に適した炭焼き窯、練炭型の試作、製造

②炭焼き材料の調達ルートの確保

③練炭の製造、販売の仕組み化

のテストを行い、課題を改善した後、地域全体に広げていきたいと思っています。

日本の里山がもっていた文化や技術、燕三条の物づくり企業の技術を組み合わせて、フィリピンの子供たちが貧困から抜け出せるように、どうかご協力をよろしくお願いします。