炭で温暖化を防ぎ、食べ物の未来を守る

Flooding in New Orleans

炭がなぜ温暖化防止の役に立つか

炭は燃料としてのイメージが強く、木や竹などの原料を切り倒し、さらにその製造過程で火を使うことからむしろ温暖化の原因になると考えられることが多いです。

炭焼きと温暖化の原因のひとつとなっているCO2削減のかかわりは、その製造プロセスにあります。

 

植物が放出するはずのCO2を炭素の塊として固定する

通常、木材を燃やすと炎を上げて灰になるまで燃えます。そしてその過程で大量の酸素と木材の中の炭素が結びつき、二酸化炭素を排出します。

炭焼きのプロセスをひとことで言うと、「酸素を極限まで抑えた状態で、木材を加熱することで、熱分解し、炭素以外のものを蒸発させる」ことです。

酸素をできるだけ入れないために、炭素と結びつかず、一酸化炭素や二酸化炭素として大気に放出されず、固体として残ります。

炭=炭素の塊です。そしてその固体となった炭素の固まりは、数百年、数千年分解されないので、大気に放出されることはありません。

植物は成長するときに光合成を行い、CO2を吸収し、酸素を出しますが、成長し、やがて枯れ、土に返るまでには逆にCO2を排出していきます。その排出量は、人類が人工的に出す排出量の約25倍。自然のサイクルの中で発生するものとはいえ、決して少なくない量です。

固定した炭素(炭)を土壌に埋めることで、土壌を豊かにする

人為的に放出されるCO2の総量の8分の1は農業からだといわれ、その多くや、森林 整備などからでる廃棄物を炭という炭素の塊に変え、それを土壌に入れることで、炭素を地面に固定し、化学肥料で痛んでしまった農地やもともとの痩せ地を 「現代のテラ・プレタ」として復活させ、砂漠化を防ぐことにもなります。

日本では、古代から炭を燃料や農業以外にも使用する唯一の文化を持っていて、建築や健康など生活の多くに取り入れる文化を持っています。CO2削減に貢献するだけでなく、自分の生活を豊かにするために使うことができます。

そういう農業廃棄物や、森林からでてくる材木として使えない材料を使って、燃料以外 の用途に使う炭を、バイオチャー(バイオ炭)と呼ばれています。日本は炭焼きの技術は世界一と言われてきましたが、その動きは北米やイギリス、オーストラ リアなどがすばやく、「国際バイオチャーイニシアチブ」という世界規模の団体も立ち上がり、技術を共有し合い、貧困による森林伐採が問題の国々で、農業廃 棄物からのバイオチャー製造を普及させています。

 

CO2をほとんど出さない熱源としての利用もできる。

炭化していく過程で出るCO2は、種火をつけるときに出るもので、その後は酸素を必要としない熱分解で自ら発熱していくので、その熱を生活エネルギーや発電に使うなど、使い方も非常にクリエイティブです。

また、各国の政府も多くの予算をバイオチャー産業につけ、大きな資本も動きだしたことも、活動のすばやさの一因であるという話もあります。

炭焼きによる炭素の固定は、京都議定書によるカーボンオフセットの中に含まれていな いため、国際議論のテーマのひとつとなっています。京都議定書の改定により、バイオチャーの収益性も大きく向上する可能性があり、そうなれば日本でも十分 に早く、大きな動きが生まれてくるのではないかと思います。