アマゾンの黒い土 テラ・プレタ

アマゾンに息づく奇跡の黒い土「テラ・プレタ」

オランダの土壌学者であるビム・ソンブルクは、1950年代に、アマゾン川流域で「テラ・プレタ」と呼ばれる黒い土を見つけた。

アマゾンの土地が痩せていて、森林を焼き払って開墾したとしても、1作以上はできず、化学肥料を使っても3作の収穫はできなことは生態学の常識だった。強い日差しや豪雨にさらされて、土壌から養分やミネラル分が流出してしまうためだ。

ところが、この黒い土は、そんなアマゾンでも何千年、何百年の古代から全く手入れをすることなく、豊かな収穫ができた。バイロイト大学のグレイザー博士は、テラ・プレタは地球上で最も肥沃な大地のひとつだという。

最貧国の人々に自給の道を切り開く可能性

ソンブルグは、痩せ地を豊かな土地に変える秘密が、テラ・プレタにかくされているのではないかと考えた。そのなぞを解くことで、もともと痩せた土地で、それが貧困の一因となっている土地を豊かな土地にすることで、最貧国の人々が自立できると信じていた。

ソンブルグは、その夢の実現を目にすることなく、2003年に死ぬ。しかし、テラ・プレタは現代に蘇りつつある。その豊かさと回復力のカギを握りのが、炭だった。テラ・プレタは炭の含有量がとても多く、土の黒いのは木炭が入っているからだった。炭素の量が他の土壌よりも40~70倍も多い平均50t/haも含まれていた。

古代人の炭焼きが作り出した人口土壌

テラ・プレタは様々な集落跡で見つかるため、この土壌は人工的に作り出されたものだとわかった。アマゾンに紀元前4000年も前から、高い技術を持つ文明が存在し、炭を土壌に混ぜて使っていたと考えられている。

2007年3月。当時ドイツのバイロイト大学のクリストフ・シュタイナー博士は、劣化した熱帯土壌に炭の粉と、木酢液を加えるだけで、微生物が飛躍的に増殖し、肥沃な土壌を生み出すサイクルが始まると報告した。熱帯の試験区では、炭を入れた場合は収量が880%も伸びた。世界中で地力の落ちた土地でも、木炭で強化した土地では、作物の収穫量が200%から300%増加すると予想している。

温暖化対策としてのテラ・プレタ

テラ・プレタは地球温暖化対策にもつながるかもしれないと考えられている。温室効果ガスの人為的な排出量の8分の1は、農業で出るといわれている。山林や畑から出る不要な有機物を炭にするだけで、米国が化石燃料により排出される二酸化炭素の約3分の1を相殺できると推定している。

気候変動に対応できる農業の希望

グレイザー博士は、テラ・プレタは温暖化による気候変動に対する抵抗力があると確信している。熱帯のアマゾンは地球上で最も極端な環境で、地上で最も痩せた土地だからである。

「今後の農業は、極端な気候変動、旱魃、豪雨、高温等の課題に対処しなければならなくなるでしょう。人口増加や砂漠化で農地への負担も高まります。テラ・プレタは、こうした課題をや緩和する一助となるでしょう。テラ・プレタは、持続可能な農業のモデルです。砂漠化した土地の農地利用や、炭素固定と地力の維持と増加を通じて、気候変動緩和など、数多くの21世紀の問題を解決できるのです」