北ベトナムの村が現地の知恵を生かしてバイオ炭の使い方をリードする(North Vietnam Villages Lead the Way in the Use of Biochar; Building on an Indigenous Knowledge Base)


IBIのウェブサイトの記事「North Vietnam Villages Lead the Way in the Use of Biochar; Building on an Indigenous Knowledge Base」を翻訳していただきました。

原文
http://www.biochar-international.org/profile/Stoves_in_Vietnam

 

By: S Joseph,  D. D. Khoi,  N. V. Hien,  Mai Lan Anh,  H. H. Nguyen,  T. M. Hung,  N. T. Yen,  M F Thomsen,  J Lehmann,  C. H. Chia

ベトナム経済は近年急速に発展中だが、多くの田舎地域では、いまだに照明・熱・調理を木材に頼っている。 ベトナムの少数民族は人口比率では約14%だが、貧民の44%を占めている。(CARE project document 2010による)。

多くの少数民族はベトナムの高地で、特にその北部で米を主食としている。野牛や牛を飼う家で稲ワラを飼料用に使い、他の家ではそれを燃料に使っている。 大半のトウモロコシは春に燃やされるか、冬に燃やされている。大量の煙がその時に発生し、少量のバイオ炭と灰ができて野原に残されている。  

残材を野外で燃焼

ケア・ベトナムのストーブ研究グループは、室内外での煙汚染を減らしつつ、土壌を健全化する方法を調査している。彼らの活動範囲は、少数民族が居住する北ベトナムの2つの山岳地域(タイ・ニュエン、タンホア)である。 この調査計画の目的は、 ベトナム高地での持続的な発展のため、エネルギー・貧困・土壌劣化問題への取り組みであり、また国家目標である貧困減少・森林減少・地域振興に貢献することである。計画に協力する団体は、 ケア・デンマーク/ベトナム (ストーブ試験モデルの選択・計画進行・資金援助)、人口問題と環境・発展センター (PED、ストーブの製造・試験と基礎的な検査)、土壌肥料研究機関とタイ・ニュエン大学 (バイオ炭生産と試験)、タイ・ニュエンとタンホアの女性連合と農民連合、コーネル大学、オーストラリアのNSW大学である。活動資金の提供先は、メコン・エネルギー環境協力会社(EEP)、フィンランド政府、ケア・デンマークである。

燃焼/非燃焼地域の土壌サンプル

計画実施の地域では、例年の多雨で土壌侵食と亡失が著しく、特に傾斜地での軽質土壌の劣化が起きている。その結果、常にアクリソル(Acrisols)の土壌で養分・肥料の欠乏が問題になっている。(Care Project Document 2010).たきぎ集めは女・子供の仕事で、時間がかかるうえに、田舎の家庭で時にお金の負担にもなっている。 

バクカン地方での家庭インタビューによれば、たきぎ集めに1‐3時間、家庭の調理と飼料の準備に3-8時間も要するという。 殆どの家庭では非常に簡単な鉄の調理台が使われ、むき出しの炎の煙は作物の乾燥・保存に使われている。

ある家庭では、燃料が良く燃えるように、木や竹を、田んぼの淵の粘土やヘドロの中に沈めてミネラルを豊富にしている。 木や竹は1年ほど水に漬けて、取り出して乾燥させる。木や竹の表面にできるミネラル層は、加熱の際の揮発分を減らす効果があり木の燃焼を促す。 ある女性は木をこのように処理すると、火が強くクリーンになるといっている。 この種の材料では、ミネラルに富むバイオ炭と灰が比較的大量にでき、家庭で野菜作りに使われている。村民は40年以上、この灰とバイオ炭をN、P、Kの肥料と共に農地で使用している。 

材料を沼に浸してミネラルを豊富にする

走査電子顕微鏡で、この方法によるバイオ炭を見ると、炭の凹凸面にミネラルが取り付いているのが判る。インタビューした村の女性達は、このバイオ炭の利点を理解し、稲わら残材や、竹・モミガラ・木の材料を使って、 高品質で大量のハバイオ炭を作る方法に興味を示した。
プロジェクトは元々、海外からストーブを購入して400軒の家に渡してバイオ炭を生産し、家庭菜園や畑で使う考えだった。しかし、初めに試みたインドより購入の3種のストーブは、地域の燃料と調理には、はっきり向いていなかった。この3種のストーブは小さな金属工作店で簡単な道具で設計・製作された。このストーブはPEDのコイ氏の経験に基づく設計と、ベトナムでの調理ストーブ改善で製作されたもので、コーネル大のステファン教授他が取り組んだものだった。 地方工場での初めの調査で高い効率が示されたが、加工設備が不十分だったので、熱分解で発生するガスの漏れが見つかった。 

沼に浸した材料のバイオ炭表面。多くのミネラル、粘土、 Si, K, と Ca, Mg ,P を含む

チームは3種の新型のストーブについて、ビンタン共同体で調理・試験をした。 試験の最初では、同じ量の燃料と食材で、コメ・豚肉・野菜スープを調理するように婦人に求めた。稲わら・もみ殻・竹の混合物がストーブで使われた。最も効果的で早く調理できたのはDK-B1で、およそ60%少ない燃料で、190gのバイオ炭ができた。予備試験では、最初の米料理で水が沸騰する段階で、発生ガスをスカウト・ガス分析器で調べたが、結果は勇気づけられるものだった。

3種のストーブを従来法と比較試験する

調理の後、夫人達は3種のストーブについて質問された。 全体的にその回答では、DKモデルは従来よりも熱を良く保持できて煙くはなかった、しかし他の参加者から、扱いにくく、燃料サイズを一様にする必要があると指摘された。この結果に基づき、PEDはDK-B1ストーブのデザインを改良した。 燃焼の前に発生ガスが逃げないように、金属シートのローラーを置いて煙が出ないようにした。 改良ストーブの予備試験は2012年2月に20軒の家庭で行われる、必要ならば、400軒の家庭で試される前にさらに改良が行われる。

ローラーとDK-B4の部品

ストーブで作ったバイオ炭を田んぼで使うのは2012年2月からの予定。 しかし、ストーブの改良が遅れ、チームは稲わらやもみ殻を野外で炭化できる、円筒型熱処理炉の製作を決めた。チームはTLUDの窯にオーストラリアの農民技師ディターホルストマン氏のデザインを選んだ。これは木・竹・殻を良く処理でき、底と上蓋に穴のある円筒でできている。

DK-B1 ストーブ

初めにワラ材を扱った時には大量の煙が出た。コイ氏は中に空気管を入れて炉の上方への空気を増すよう指示した。この追加で空気の供給量は増えたが、温度が750℃までも上がって、ワラ・バイオ炭の収量は20%以下になった。ジョセフ博士はワラ材を石灰と粘土でコーティングすることを示唆した。(これは沼への漬け込みと類似の効果である)、ワラ・もみ殻・竹へのコーティング法と、炎に水を天井から少し噴出させて温度を適切にして、この方法はうまく行き、バイオ炭の収量が37%に上がり、温度を400-500℃に保持できた。 燃焼処理が終わると、底部の空気は閉じられて、材料はさらに1時間 炭化される。全90分の炭化処理の最後に、水が噴出して蓋が外される予備的にガス分析がなされ、煙発生は最も少く、CO/CO2のモル比率は野外燃焼での1/3以下であった。汚染の減少量を定めるためには、より詳しい試験が必要である。

村の女性たちは窯の操作法を学習し、結果を反映できるように、ボランティアで学習に参加している。 窯の操作法は難しくなく、村民はバイオ炭作りについて何ら問題にしていない。窯のデモが成功した後、さらに5つの窯が建設され、地域の女性が2週間で2,000kGのバイオ炭を製造できた。バイオ炭に動物糞が入れられて堆肥化されたものもあり、2月に野外試験が始まる予定。計画では野外試験に十分なように、バイオ炭を作る炉の増数をはかっている。