クラウドファンディングにご支援いただいた方々へのありがとう対価の炭を師匠から分けていただきました。
クラウドファンディングでご支援いただいた皆様に送るための炭の準備をしていたところ、炭の品質にばらつきがあり、これでは申し訳ないため、土窯での炭焼きを教えていただいた藤田さんのところへ炭を譲ってもらいにいきました。
炭は焼かれる温度によって役割が違います。比較的低い温度で焼かれた黒炭は、やわらかいため、床下の調湿に使うと多くの湿度を吸着し、畑や田んぼに入れてもやわらかいので水分や肥料分を保持します。
高温で焼かれた白炭は、備長炭のようにチャリンチャリンと金属のような音がして、中には鉄よりも硬いような炭もあるそうです。こういう炭はなかなか火をつけにくいのですが、高温で燃え、一度火がつけばなかなか燃え尽きずに強い火力が持続します。その反面、調湿などの効果は、硬くしまっているので、黒炭に比べて劣るようです。
白炭は伝導性が高いために、電磁波などを遮断したりとか、電子を集めてくるとかで癒し効果などもこちらのほうが高いそうなので、今回はできるだけ高温で焼かれた白炭を送りたいと思いました。
準備をしていて炭も白炭だったのですが、温度が高温に達していなかったために、より高温で焼かれた炭を求めて藤田さんの窯へ行きました。
藤田さんは若いころからお父さんの後をついで、16歳から家族を養うために山で炭を焼き始めました。当時の日本の主な燃料は炭だったために、まわりにもたくさんの炭焼きがいたそうです。
毎日陽が上る前に山を2つくらい越えた国有林を借り上げた炭焼き場に行き、話を聞くと考えられないようなキツイ仕事と生活でしたが、当時は当たり前だったので、きついとか考えたことがなく、朝、周りの炭焼きたちと話をしながら山を登っていくというのが楽しかったといえば楽しかったと言っていました。
しかし30歳くらいの頃に、田舎にも石油ストーブが入り始め、炭を燃料にする時代は終わったと感じ、炭焼きをやめて別の仕事につきました。退職後、また炭を焼いてみようと窯をついて始めたのがずっと続いていて、そのおかげで私もこういう伝統的な土窯でも炭を焼けるようになりました。
窯のある炭焼き小屋に入ると、煙の辛いにおいがします。
この「辛いにおい」というのは、炭焼き特有の表現で、実際は辛いわけではなくて、ツンとして、頭にくるような、少し吸い込んだだけで、ゴホッゴホッとむせて煙に巻かれてこのまま脱出できなく死んでしまうのではないか…というような感じの煙です。
炭になりかけたときから、炭になり終わるまでこういうにおいがして、炭焼き小屋に入ったときは、うっすらとした辛さのある煙だったので、あらかた炭になっていました。
煙突を調整して、炭焼き小屋の脇にある休憩小屋の囲炉裏を囲ってしばらくお話をしていました。ここで燃えている炭も藤田さんの焼いた炭で、燃料としても竹炭ながらも火力も持続力もいい炭です。
クラウドファンディングでご支援していただいた方々にはこういう炭をお渡ししたいと思いました。
また窯のところに行くと、先ほどまで辛かった煙の辛さも薄くなってきました。
窯の上の煙突口に上って、少し煙突を開けました。
これにより、より多くの空気が入り始め、窯の温度が上がり始めます。
少しずつ口を開けていき、最後には完全に煙突を開け、手前のレンガやべトで固めた窯口の方も少しずつ崩していき、最後には完全に開きます。
窯の口から中をのぞくと、温度が上がり始めているので、炭が赤くなってきているのが見えます。これが最後にはオレンジ色の太陽のような色になって、窯出しは熱くてたまらなくてきつい作業ですが、美しいです。
この日は、窯出しまで滞在できなかったので、私が修行中に(今も修行中ですが)、師匠から教えを受けていたときの写真を載せておきます。
前の窯のときに焼いてみたという胡桃の炭を見せてもらいました。すごく硬くできたということで、分けていただきました。これも1個ずつになると思いますが、ご支援いただいた皆様に送付するときに同封させていただきます。
師匠の炭焼き小屋の外観です。
よく整備されているので、いつ行っても、どんな天気のときでもここの竹林はきれいで癒されます。
80歳の師匠はこの急な坂をどうやって上ってどうやって竹を切り出してくるのかいつも不思議です。
下の写真の横に長く出ている棒が煙突です。窯の煙突からこういうステンレスの煙突を伸ばしていくことで、煙を冷やして木酢液や竹酢液をとることができます。
こんな感じです。人によっては、煙突を4本とか並べて、大量の木酢液を取れるようにしています。
炭の準備がやり直しになってしまいましたが、最高品質の炭をいただきましたので、もうしばらくお待ちください。