【バイオ炭団体紹介】ライプニッツ農業技術協会(ATB)でのバイオ炭研究 (独・ポツダム)



ライプニッツ農業技術協会(ATB)の研究者は、急成長する彼らのバイオ炭研究プログラムはウィルスだと説明した。 研究者のジャン・ムメ氏いわく。 “バイオ炭には伝染性があり自己拡散する。 ATBはこれに2008年に感染し、面白いことに感染患者は3つの異なる方角分野から来た。 バイオガスの研究者は残存物(digestate)の改善法を探していて、 生物地球化学者はテラプレタからの放出現象に熱中し、そして経済学者は温室効果ガス緩和の価格効果に関心があった。”

左 熱分解炉によるバイオ炭
中 熱水炭化炉(HTC)から出る木酢液
右 熱水炭化炉によるバイオ炭

2009年に、バイオ炭を一貫生産するイデアと、ATBの長い歴史ある嫌気性消化研究の継続に促されて、ジャン・ムメ氏は嫌気性法を通しての、再生エネルギーと炭素埋設の研究グループ(APECS)を作った。 一方、同僚のユルゲン・ケルン氏は欧州バイオ炭ネットワークを開始し、2012年には同僚のアンドレアメイアー氏が独・マレーシアにおけるバイオ炭・農業のネットワーク計画を始めた。ATBのバイオ炭研究チームは、現在10人の研究者で高度に学際的な取組みを行って、バイオ炭の異なる側面での状況、及びネットワークによる研究を明らかにしている。 ATBチームの活動方針は以下の通り。

(嫌気性消化:し尿、下水汚泥や食品工場廃水などの高濃度で含まれる有機性物質を嫌気状態にして、嫌気性微生物群によって分解し低級脂肪酸の生成過程を経て、メタンと二酸化炭素に分解する方法)

・ APECS – 再生可能エネルギーと炭素埋設に至る、嫌気性工程経路の研究 

・ 欧州バイオ炭研究ネットワークの推進

・ ドイツとマレーシアでのバイオ炭・農業ネットワークの推進

・ 第1回国際バイオ炭学校を実施

 

ベルリン近郊のバイオ炭試験場でのジャンムメ氏。氏は2008年のバイオガス博士論文作成後、土壌にもっと優しい方法でのガス製造を考えた。氏いわく“バイオガスの工程で残る物質(バイオ炭)は最適な形で土に戻すべきである。たくさんの問題はあるが、バイオマスでのエネルギー生産と、土を持続的に肥沃にする利用法の間で、バイオ炭は自分の見る限りwin-winの解決法になるだろう。“

一本化されたAPECS

APECS(嫌気性工程を通しての再生可能エネルギー生産と炭素埋設)が注目し、狙っている技術分野は、バイオ炭をバイオガスの生産に一本化することである。 APECS(研究者8人)では、その活動資金はドイツ連邦教育養育研究省(BMBF)から受け、計画監督局チューリッヒ(PTJ)の管理を受けている。理想的には、この計画は、農家と供給産業に新しい視点を与え、革新的で効率的な解法を提供するだろう。APECSはバイオ炭に関しての、疑問に答えたいと願っている。それは、バイオ炭で何ができるか? それは汚泥(digestate)をそれ以上のものに変換できるか? 砂地を肥沃化できるか?そして忘れてならないのは、今、頑張っている農家に成功をもたらすか?についてである。

APECSグループの博士課程学生、マヤ・ウェルナーさんはバイオ炭をレーザー顕微鏡で調査。

数台の新規の反応炉型で試験がなされ、その結果は広範囲の化学的・微生物学的な方法で特性付けされる。 中核となる装置は、20リットル容量の圧力反応器を有する熱水・炭化式 自動回転炉で、新規開発の高機能なワラ材を処理するバイオガス反応機である。

APECSの主要な目標は、砂地の改善に最適なバイオ炭の開発である。この仕事は、バイオ炭の特性目標と、バイオ炭が土壌生物といかに関わっているかの、多くの問題点に関係している。バイオ炭の土と生産に対する効果がポットと野外での試験で調査される。そこでは、植物の成長/バイオマス生産量/養分の動きに注目して調査される。

アクセル・フンケ氏は20リットル容量の熱水反応炉を操作して炭化実験をしている。” バイオ炭には第3のグリーン革命に例えられる潜在力を約束しており、この素晴らしいアイデアは、自分が研究に励む十分な動機になる。研究は学際的に強く取組む必要があり、魅力的な研究の一つはバイオ炭の適切なプロセスの探求と生産品質の向上についてである。 ここでの知見で、材料が入手し易く、産業の対応性ができるようになり、バイオ炭の適用性が向上するだろう。“

APECSでは十分なる価値の連鎖(現場から現場への)、そしてプロセスのエネルギーと物質の有効性について評価することを考えている。潜在的なシナジー効果を得るため、バイオ炭とバイオガスシステム全体が、シミュレーションソフトで解析/最適化される。この目的のために、計画の全ての範囲の実験データが、共同プロジェクトの分も含めて解析される。

APECSはまた、バイオ炭の安定性と温室効果ガスの放出についても研究している。バイオ炭は長期間、炭素を土中に隔離できると考えられている。 しかし炭素の安定性は、適用されるバイオ炭・土・気候で広く変化すると考えられる。ユルゲン・ケルン氏とその研究仲間は、2009年に培養の実験を始め、多くの炭素の基板 – 炭と土の基板で調査した。 さらにCO2と、より温室効果の大きいメタンと酸化窒素についても研究した。実践室での研究は2年間続けられている彼の博士課程の学生達とユルゲン・ケルン氏は、野外試験での温室効果ガス放出について、すぐに結論を出すだろう。これらの野外試験は、自然界でメタンと酸化窒素の放出に、バイオ炭がどのように影響するかの理解に役立つだろう。

ガスクロ分析計に繋がる土の培養器と、ユルゲン・ケルン氏と研究メンバー。2009年に3つの道路が私の研究分野で交錯した。温室効果ガス放出の長期にわたる研究。アマゾンでの窒素循環研究、アマゾン小村落のテラプレタ訪問である。これらは土壌へのバイオ炭効果の研究を始める動機になった。 自分の研究の狙いは、バイオ炭の、土壌に適用後の安定性と、CO2、CH4 とN2O等の温室効果ガスを緩和する潜在力の調査である。

欧州バイオ炭研究ネットワ-ク

ブルーノ・グレイサー(マーチンルター大学、ハレ・ビッテンベルク ドイツ)、 クラウディア・カンマン(ユスツス・リービッヒ大学 ギーセン ドイツ)、 ユルゲン・ケルン(ATB)は、欧州バイオ炭研究ネットワークを設立し、 2012年3月にCOST ACTION TD1107(天然資源を持続的に管理するための選択肢 : バイオ炭)を打ち上げた。その目的は、欧州内でバラバラな状態にあるバイオ炭の研究を相互につなぎ、土壌の質を維持し、炭素を長期間効果的に埋設しつつ、知的材料のフローを管理するシステムを早期に導入することである。

ユルゲン・ケルン氏はライ麦畑で土からのガスを収集している。

COST Actionは、欧州内や参加を希望する国の間で、研究者・利害関係者・使用者を互いに融通し、欧州でのバイオ炭研究の取り纏めを狙っている。 これは、毎年のバイオ炭学会、EU若者や指導者と女性研究者のための短期的な催し、訓練学校、そしてインターネットでバイオ炭の研究と変革をモニターして合理化することで達成されるだろう。

バイオ炭の革新的な戦略により、EUでの温室効果ガスの削減が可能になり、農家と産業に新市場とチャンスを与えて改良した土壌が使えるようになり、例えば、食料問題を危うくすることなくバイオ燃料生産ができる。 しかしながら、食糧網(food web)と人間の健康を守るためには、リスク評価が必要である。

農業におけるバイオ炭 ドイツとマレーシアについての予測

ATBは、ネットワークプロジェクト(名称 “バイオ炭農業―ドイツとマレーシアの状況と見通し“。 研究と改革のための共同運営として、ライプニッツ協会が資金を提供) の活動を取りまとめする。 このプロジェクトの目的は、バイオ炭による農業へのインパクトを調査し、その経済的・環境的な潜在力の高さを良く理解してもらうためである。

特に、温室効果ガスの削減と経済的なコスト効果に焦点を合わせている。総合的な挑戦は、ライプニッツ大学 ポツダム ボルニム農業技術e.V 、農業造園ライプニッツセンター(Zalf)により行われ、ドイツ経済研究協会(DIW)、ベルリン技術大学(TU)、フンボルト ベルリン大学(HU)、プトラ マレーシア大学(UPM)の連合で実施される。

特に、この連合はバイオ炭の特性について、実験室の調査と温帯と熱帯での野外調査(ドイツとマレーシア)を行い、生産能力の観点から土の肥沃度、保水性、養分の動き、土の生物相を解析する。いくつかのバイオ炭はAPECSの研究に基づくものである。

環境に対する大きな効果が、農家レベルでの価格効果や国家と世界レベルでの福祉への効果と共に、評価されるだろうが、これは温帯と熱帯域でバイオ炭を使用するという、最も効果的な方法の提供によるのである。

アンドレアス氏はバイオ炭・農業計画を立上げる時、語った。“バイオ炭農業の協会ではバイオ炭を農業に使うための学際的研究を行う。このネットワーク研究計画をまとめるため、自分は、農業での温室効果ガスの緩和問題に経済の専門知識を導入したが、これがバイオ炭に入るきっかけになった。バイオ炭は土・植物・環境に対する複雑な効果があり、実に科学的に興味あるテーマである。いまだ不明の、交互に働く多くの効果が考えられ、バイオ炭を農業に使う最適な戦略については、さらなる研究が必要である。“

ATBでのバイオ炭の教育

ATBはバイオ炭研究の為に世界から卒業生や博士たちを招いている。ますます増える要求に対応のため、彼らは第一回国際バイオ炭学校を2012年の9月開催を決めた。その目標はバイオ炭研究を世界中で行い、重要で教育的かつネットワーク活動的な機会を研究者に提供することである。 22人の博士と、米国・ドイツ・英国・デンマーク・ベルギー・ポルトガル・イタリア・オーストリア・カメルーン・中国・インド゙からの若い博士課程修了者達が選抜されて、このイベントに参加する。彼らは1週間集まり、自分の研究結果を交換し、ブラジル・米国・欧州の高レベルの専門家から学習する。

この教育計画には、バイオ炭製造・材料の使用可能性・システム統合・バイオ炭特性・バイオ炭の土への効果・実際的な工場と競合者のセッションと、バイオ炭の実施現場視察、バイオ炭学会イベント(公開)参加が含まれる。

ママドウ氏曰く、”2010年の自分のPhD論文では、プロセスシステム工学と一般的に呼ばれる、プロセスシミュレーションによる、設計、作業、制御、化学的・物理的プロセスの最適化に焦点をあてた。この方法をバイオ炭のプロセスに当てはめるのは科学技術者として、未来のための、有望で挑戦的な仕事である。”

 

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この記事は、インターナショナル・バイオ炭・イニシアチブの許可を得て翻訳し、掲載しています。

原文: PROFILE: BIOCHAR AT LEIBNIZ INSTITUTE OF AGRICULTURAL ENGINEERING (ATB) IN POTSDAM, GERMANY

http://www.biochar-international.org/profile/ATB_Germany